「当たり前だろ」

「ほんと?」

「っていうか、お前は球技なにに出んの?」

ククッと笑う輝空が話を変えた。
寧音が膨れた時のホッペをまねすると、ブタそっくりって輝空はわたしをからかうように笑う。

「好きだとか、ふつうこんなところで言えねぇもん」

「それを言ったわたしはどうなんのよ」

「え?普通じゃないんじゃない?」

輝空の背中をバシッとたたいて仕返しをする。
からかう輝空のいたずらっぽい顔も、手をポケットに入れた仕草も、遠くを見る目も、ネクタイの緩み具合も。

全部が全部愛しくてたまらないから、わたしは好きだと言いたくなるんだ。

「バーカ」

「はぁ?」

坊主頭をガシガシなでて、少し前を歩く寧音と咲の腕を引いて走って教室へ向かった。