強さを印象付けるような黒のTシャツ。
表には白い猫がワンポイントに、裏の絵柄「堀田家」と大きく書かれた文字は目立つ蛍光色のピンク。

「こんなの本当に着るの!?こんなの着たら堀田ファミリーじゃん‼」

隣の席のクロが大げさに嫌そうな顔をしたので、わたしと寧音はクロの頭の上からTシャツを被せて「やめてよぉ~」と、か弱い声を出すクロに無理矢理Tシャツを着せた。
白く、細い腕には黒と蛍光ピンクの奇抜なTシャツは不似合いかと思ったけど、意外と違和感はない。


「ちょっと歩舞も着てみてよ」

寧音はMサイズのTシャツをダンボールから取り出しわたしに渡す。広げてみると想像していた大きさより少し大きいような気がする。

「じゃあ、一緒に着てシャメ撮ろ」

ワイシャツの上から着たTシャツは変な着心地だったけど、スマホで撮った写真は違和感なく撮れていた。

後で輝空に送ろう、そう思いながらスマホをカバンにしまった。



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その日、輝空のからメールが来たのは夜11時過ぎ。短い文章から部活の疲労を感じる。

輝空の背番号は14番。ポジション、サード。
野球のポジションの価値だなんてわたしにはわからなかったけど。

【ベンチ入り出来た】

その価値はわたしにも良くわかった。

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