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「今日、守備位置決まるから、メールするよ」

周りが掃除を始めようと机を後ろへ移動させている間に、早々と部活に向かおうと支度をする輝空がバイバイを言おうと近寄ったわたしにそう言ってくれた。

「……うん‼メール待ってる」

わたしの頭をなでる手がポケットの中に隠れてから、一番に教えてね?とお願いをした。

「わかってるよ」

最近、輝空は笑い方が変わった気がする。
背も伸びたのかな、手の暖かさはいつもと同じだけど。


「「輝空センパーイ‼」」

大きく響く呼び声に、わたしと輝空は窓の外を見た。見上げていたのはクリクリとした坊主頭の男の子たち。
あぁ、輝空の後輩かぁ。と、わたしがカーテンに隠れると、楽しそうにからかう声が聞こえてくる。

「バーカ、ちげぇよ」

そう言って笑う輝空を見て少し嬉しくなった。

「ごめんな、あいつらバカだから」

頭をポリポリとかく輝空に、大丈夫だよと告げる。

「部活、頑張ってね」

「おう」

教室のドアを出るまでその後ろ姿を見送った。