たどり着いた教室の黒板には
“藤嶋☆香山カップル遅ーい‼体育館裏にて待つ‼早くこい”
と、寧音の特徴をとらえた丸字やクラスメイトたちの落書きが書かれていた。

顔を向き合わせる。

「行こっか」

荷物を机において、わたしと輝空は急いでみんなの元へと向かった。



初めてダブルダッチの練習に参加したはずなのに難なく波を跳ぶ坊主頭を見て、なんで男の子はこうも器用なんだろう、と感心した。

二本の縄波を楽しむ輝空は無邪気で、その波を作るわたしまでつい笑ってしまうんだ。




「学園祭、いいな」

寧音に縄を渡して休んでいたわたしのもとへ寄ってきた輝空は、わたしの隣で一緒にみんなの練習を眺めていた。

「屋台とか一緒に回ろうね」

「ん、できたらな──……」


わたしの頭をなでてくれたその手に、何か違和感を感じたけど……。この時は楽しくて幸せで、そんな今がずっと続くような気がして対して気に止めもしなかった。