四年前から始まった催しだがなかなか好評で、毎年たくさんの応募がくるらしい。

「読まれるのは10通くらいみたいだから、無理かもだけど……ダメモトで送ってみようよ」

わたしと寧音は向き合って笑った。




放課後、ダブルダッチの練習と部活が終わってから咲も呼んで寧音の家に集合した。
寧音は尊に向けて、咲は直央に向けて、わたしは輝空に向けて。伝えたいメッセージを書いた。

真っ白なハガキに黒のボールペンで数行の気持ちを描く。応募期限まではまだ期間があるから、スクールバッグの隅に大事にしまった。



「採用されるといいね‼」

帰り際、そう言って手を振って寧音の家の玄関を出た。

可愛らしい黄色のバイクにまたがり直央の元へ向かおうとする咲を見て、わたしも免許を取ろうかなと、ひとり考えてみた。


日が延びたと言ってももう暗くなってしまった道を歩いて進む。
道の途中、電話をする勇気は出なくて短いメールを送ってみた。予想もしていなかった早さで返ってきた返信に鼓動が高鳴る。

【今日、そっけなくてごめん。ちょっと疲れてて……今から会いに行くよ】

“会いに行くよ”
その言葉でわたしの充電は満たされた気がした。


【気にしないでいいよ。疲れてるのちゃんと知ってるから今日はゆっくり休んで】
そう送って、わたしは再び歩きだした。




その夜、家に委員長から電話がかかってきた。

『明日からは野球部のやつらも学祭練習出れるから、早く覚えてもらうように朝集合して練習することになったからー。
女子の連絡網ヨロシク‼じゃぁな』

ブッ……ツー ツー……

……台風みたいな男だ。
なんて思いながら受話器を置いた。