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二重跳びは得意な方です。なかなか縄跳びは、出来る方なんです。だからって……

「じゃあステージ発表はダブルダッチで決まりね~」

だなんて、人がトイレに行っている間に決定してなくてもいいじゃん‼
……と、思った初夏の午後。




「も~‼こんなの出来ないよ‼ふざけんなっ」

何度やっても絡まる二本の白紐を投げ飛ばす。だいぶ長い時間外へ出ていたために体はベタベタ。

「歩舞っ、お、怒らないで」

怒るわたしの腕をゆさゆさと揺すってなだめようとする寧音。

「怒りたくもなるよ‼だって、ほとんど男子サボりじゃん!?」

学園祭までもう少しだというのに、なんだかんだ理由を付けて帰ってしまうようなまとまりのない男子。残っている人も対してやる気のない状況にわたしは苛立っていた。

「委員長すらいないじゃん‼ちゃんと男子まとめてよ‼」

こんな時は無性に輝空に会いたくなるけど、夏の大会、甲子園を目指して学校合宿中の野球部。なかなか返ってこない夜のメール、寝てばっかりいる日本史の授業。

わたしの席から見える後ろ姿からは疲れが感じ取れる。無駄に心配かけたくない……
当分は遠くから見守ることしかわたしには出来ない。