「目、つむって?」

つむらなくたって、真っ暗じゃん。と、わたしは笑って目をつむった。ごつごつした手のマメの感触が、目をつむるとよく伝わってくる。
目を開けようと思えばいつだって開けられるけど、視覚ではわからない輝空の存在を感じて楽しんでいた。


「もう、いいよ」

ゆっくりと目を開くと……フヮーと目の前を小さな光が通り過ぎた。


「うそ……」

目の前に広がった一つの世界。
点々とした光の世界はまるで星空の中にいるよう。

「去年、部活中に俺の打ったボールがここまで飛んじまってさ。草むらだからぜんぜん見つからねぇの」

おまけにファールだったボールだし、だいぶ嫌になった‼

懐かしそうに苦笑いをした輝空。なんだか微笑ましい。

「そしたら、こいつらが……二匹くらいだけど、いてさ……いろいろあった時期だったから、だいぶ癒されたな」

歩舞と見れてよかったよ。

そう笑う輝空の顔が暗くてあまり見えなかったけど。もう、誰よりも格好良いんじゃないかと思ってわたしは笑った。