お宮の二人乗りのブランコが好き。向かい合わせに座れるのに、わたしはいつも隣に座る。
「はい、これ」
「ありがと」
ピンク色の包装紙、赤色のリボン。
ドキドキしながらそれを渡すと、輝空くんはわたしの頭を撫でてくれた。
「お誕生日、おめでとう」
輝空くんが年上の彼氏になったこの日、わたしは黒いお財布をプレゼントした。
「有名ブランドみたいな高いお財布じゃないけど……」
「そんなの関係ねぇよ。マジ嬉しいから‼」
申し訳なさそうに言うと、喜んでくれた輝空くんにわたしまで嬉しくなる。
少し前まで、わたしにとってこのお宮は暗くて不気味で、お宮の前の道を通ることすら億劫で……
それが今ではその暗さがわたしと輝空くんには調度良い環境に。
幾度も二人で訪れたことで夕日が夜に変わる色を知り、この場所の不気味さがいつの日か安らぎに変わった。
「なぁ、歩舞」
「ん?」
ブランコを足で揺らしながら返事をする。
「お願いがある、って言ったら……どうする?」
なんだか照れているようなその表情を見て、少しドキッとした。