小さなスペースに二台並んだ自動販売機横にはゴミ箱が。わたしは壁にもたれ掛かった。

「重たい女だわ……」

自分自身に呆れる。いつまでも落ち込んでいたってしょうがないのに……なかなか動けない。

──……♪~
スマホが鳴る。寧音かな……?

『おーい、気づけよマヌケ~』

ハッと横を振り向くと、そこにはスマホを片手に持った輝空くんが立っていた。

「なんでいるの?」

「驚いた?」

「そりゃあもう」

笑いながら聞く輝空くんに、驚いたわたしは答えた。

「バドミントンすぐ終わっちゃったから。で、ここ近かったからさ。みんなで柔道見に来た」

「……へぇー」

わたしに会いに来てくれたのかと一瞬、ちょっとだけ妄想してしまった自分が恥ずかしい。

輝空くんは自動販売機に小銭を入れ始めた。十円玉を一枚一枚入れる姿を見ていると、ケチだとか思ってるだろ‼と、輝空くんが大げさに財布を隠す。
その様子にわたしはクスッ、と少し笑った。