今から作り上げる低音の世界で、どんな技を出そうか初太刀はどう出ようか──胸の鼓動は強く高鳴った。
目を閉じて瞑想にひたる。

【明日は頑張れ‼自分を信じろ】

「勝負あり‼」

前の試合の終わりとともにわたしは目を開け、前へと出る。

始め──……‼
試合の合図が聞こえれば、もうこの世界にはわたしと相手しかいない。一回戦目の相手は、何度か見たことがあったわたしと同じ学年の子のようだ。

じりじりと竹刀の先で機会を探る。
小さな音でカシャカシャと、竹刀と竹刀が触れ合う小さな音がする。このやり取りがどれだけ重要か。

竹刀を右から押して、反発して返ってきた所を小手に出ることも出来る。そのまま巻いて面に行く道もある。
慎重に打突の好機をさぐる。

わたしはスッ、と一押し脅すことにした。
すると、──……かかった‼相手が挑発に反応して面を打ち込もうとした瞬間……

ダーンッ──…‥

「面あり‼」

赤旗が三本立つ。面返し面。まずは先手。拍手の声援が聞こえる。

今日は大丈夫。そう感じて、わたしは攻め続けた。