大切な試合の前夜、たくさんのメールが届いた。
もう卒業してしまった先輩から、中学校の時の同士から、寧音と尊から、剣道部の仲間達から……

そして、──……♪お風呂上がりに届いたメールが一通。鳴り響いた設定音は、野球部のあの人のグループ設定音。
青天の霹靂。まさにそんな感じだった。



***

「歩舞、何見てんのー?」

更衣室の隅で丸まっていたわたしは、後ろからヒョコ、っと覗いてきた美千代(ミチヨ)に驚いて慌ててスマホの画面を消した。

「なっ、なんでもない‼」

そんなわたしの姿を見た美千代はふーん♪と勝手に自己解釈。
な、何さっ‼と、わたしは急いで立ち上がり竹刀計量に出す竹刀を数本袋から取り出す。美千代は「青春だね」と言ってニヤニヤ笑いをした。


この総体一日目は個人戦。
次の日には団体戦があるけどまずは一つ、輝空くんと交わした指切りの約束に向けて第一歩目。