「お前さ、その輝空ってやつの彼女になりたいって思ってんの?」

「え……?」

わたしは……どうなんだろう……
莉華とのもめ事があった時は気持ちがあせって、輝空くんに自分だけを見て欲しい……と思ってしまったこともあった。
でも、いざこざが解決して二年になって……輝空くんと笑い合う時間が増えた。

「まだ、このままでも……」

「あいつはそれが気にいらねぇんじゃねーの?」

きっぱりと言い放つ譲治。

「今が幸せだから、告白すんのが怖いんだろ」

顔を見たらわたしの心を読みとられてしまう気がして目をそらす。

「そんなこと……」

「あるんじゃね?」

沈黙が流れる。
あたりはもう暗い。立ち読みをしていたおじさんも、いつの間にかいなくなっていた。

カキーン……と、聞こえる音に耳をすます。

わたしは、まだ自信がない。
だから告白して振られたら……そう思うと前へ踏み出せない。

「お前がもじもじしてるからあいつは、あいつなりに背中押したかったんじゃん?
まぁ、あいつ尊なみに言語能力ねぇーから理解出来なくても仕方ねぇんじゃね?」

顔を上げると、笑う譲治に少し癒された。