宮部はすたすたと近づき父親の合い向かえの席に腰を下ろす。


父親は老眼鏡をつけたまま宮部の方を向いて少し驚いた表情をした。


「翔か、久しぶりだな。こんな朝からどうした?」


「ちょっと昔の仕事の話を聞きたくて……まぁ飯食い終わってからでいいよ。」


父親は「いいから話してみろ」と答えると宮部は鞄から戸丸のファイルを取り出した。


父親もファイルの表紙に書かれた『戸丸明子』という文字を見て一瞬険しい表情をしたように見える。