大塚は狭いキッチンスペースでやかんに火をつけてながら宮部に話かける。


「私、本当は夜のお店では働きたくないんです。でも、親の借金返す為に仕方なくあそこで働いているんです。」


実際こういった話はよくあるものだ。


夜のお店で働く人の大半は何かしら事情を抱えている人達だろう。


確かに昼間の仕事に比べて給料は良い。


だが、夜の仕事は給料に比例して危険度も増していく。


宮部は仕事柄このような女性達を今までも多く見てきた分、夜の世界に染まった女性達の悲惨さをよく知っていた。


「そうだったんだ。あんまり無理しないように。でも、大塚さんはあの店で人気みたいだから逆にこの状況を利用して自分のスキルアップに繋げられたらいいね。」


「ありがとうございます。そんな事言われたの初めてです。」


宮部は苦笑いを見せながらも少し照れくさくなった。