「どうしてよ……。お母さん………会いたいよ…。」


智子の悲痛な思いを宮部は必死に受け止めながら柵をよじ登ると智子の隣へ立った。


「君のやりきれない思い、怒り、悲しみ、全てを理解する事は俺には出来ない。


でも、少しでも君の肩の荷が軽くなるように俺も努力するから心の整理がついたらまた事務所のドアを叩いて下さい。いつでも、待ってますからね。」


宮部は倒れている日野を抱き上げると静かに外へと歩き出した。


宮部の耳元でスヤスヤと寝息をたてている。


目の前でこんな修羅場が起きているとは知らずに幸せそうな寝顔だ。