「車内のあなたの顔を見て声をかけたとしたら?」



宮部の話に割って入る形で智子が疑問を呈した。



「それも不可能だ。なんせこの季節だと車内と外気の温度差によって窓は真っ白にすぐ曇ってしまう。

あの時もそうだったよ。

それに、君のつけているその香水。」



智子は怪気な表情で「香水?」と尋ねてきた。