「調査の為にハニーガールへ行き君と会ったあの夜だ。君は俺に『母が迎えに来ないから乗せてくれ』と言ったね？

先に聞いておくが、俺だとわからない状態であんな深夜に女性が乗せてくれなんて普通頼むか？」


智子はあまり悩む事も無く「まぁ頼まないわね。」と言った。


それが当たり前の回答であろう。女性が深夜に正体のわからない人の車へ乗るなんて事は普通考えられない。


「普通はそうだろうね。でも、その時はまったく気付けなかったんだが、そもそもなぜ車に乗っているのが俺だとわかった？


そこがまずおかしいんだよ。俺は大塚さんの調査のために不審者が居ないか周囲を常に注意深く見ていた。


その時はもちろん君の姿はなかった。それに君は休憩室に居たと言っていたしね。


万が一俺が見落としていて君が外に居たとしてもあんな深夜の街灯もあまりないあの場所で俺だと認識することは不可能だろう。」