いちご飴の要領で、小ぶりのみかんに飴をつけて焼いたみかん飴は、確かにこの夏祭りには欠かせない一品だ。
「これをね、三つ!」
「三つ!?」
財布の中で小銭を数えていた宮崎は、和果子の放った言葉に衝撃を受ける。
「はいよ」
しかし既に注文は伝わってしまっていて、屋台のおじさんが出来たての飴を三つ、パックに詰めていく。
宮崎は、諦めたようにうなだれて札を取り出した。
「はい、まいど」
お釣りを宮崎が、商品を和果子が受け取って、二人は屋台を出る。
辺りを見回せば、役場の建物に背中を預けるようにして、高知が疲れたようにしゃがみこんでいた。
「ああ……お帰り」
近づいてくる二人に、高知は片手を上げて力なく笑う。