「なんでですか!見たいって言ったのは、先輩の方でしょ」
「でも実際に、和果子ちゃんに伝えたのは宮崎だよね」
「伝えろって言ったのは先輩です」
和果子の怖さを知っているもの同士、どちらも譲らない押し問答を繰り広げていると、二人の争いを遮るように、上空で何かが弾けるような音がした。
それも続けざまに三発。
二人は、同時に空を見上げる。
いつの間にか、すっかり夕焼けに染まった空に、薄く煙が流れている。
「おおー、始まった!」
これからお財布に待っている悲しい運命などすっかり忘れたように、高知が空に向かって声を上げる。
その楽しげな横顔に一度視線を落として、宮崎もまた視線を上に向けた。
遮るもののない頭上には、美しい夕焼けが広がっていた。
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