「和果子ちゃんにさ、浴衣着てきてって頼んでよ!」
「なんでですか……」
「見たいからに決まってるでしょ!」
「ほれほれ」と促され、断ってもしつこいことはわかりきっているので、仕方なく返信文に浴衣の件を付け加える。
「断られたら諦めてくださいね」
「そしたら宮崎に着てもらうかなー」
不穏な一言は聞かなかったことにして、宮崎はメールが送信されるのを眺める。
電波は少し弱いが、それでもメールは確かに送信されていく。
「和果子ちゃんはさ、どんな浴衣が似合うと思う?」
「何なんですか、不躾に」
「ん?返事が来るまでの時間つぶし」
ニッと笑った高知は、あれやこれやと想像を膨らませては、楽しげに語っている。
それを聞くともなしに聞いていると、あっという間に返事が送られてきた。