「ちょっとすいません」と断ってから携帯を取り出すと
「なになに、彼女？」
高知が楽しそうにニヤニヤ笑いながら画面を覗き込んでくる。
それを何とかかわしつつ、宮崎は受信したメールを開いた。
「宮崎って未だにそれなんだね。スマホにしないの？」
「今のところ、間に合ってますので」
「ふーん……で、相手は彼女？」
自転車から落ちそうなほどに身を乗り出してくる高知に、宮崎は小さくため息をつく。
「彼女じゃありません。和果子です」
「なーんだ、つまらん」
ようやく高知が元の体制に戻ったところで、宮崎はメールの返信を打ち込む。
「和果子ちゃん、何て？」
「夏祭り、行くのかどうかって」
宮崎が携帯を操作する手元を興味津々で眺めていた高知は、不意に何かを思いついたように手を打った。
