「お前まじで女々しすぎ。帰る」
わたしは彼氏にそう吐き捨てて家を出た。
山下 風香。16歳。
通っていた全日制の私立高校を秋に中退してから
今は通信制に通いながらバイトしている
一応高校2年生。
年明け早々、彼氏のノリアキと喧嘩して
正直冷めきってた。
ノリアキとは去年の3月に付き合ったから
もう2ヶ月も経てば1年になるけど
わたしはもうウンザリしてた。
喧嘩したらすぐ泣くし、はぶてる。
男らしいとこ全然無くて
エッチのときは自分がよければそれでいいって感じ。
元彼と別れたばかりの時に
向こうも彼女に振られたばかりで
ラインであやふやな告白されて
勢いで付き合ったけど。
今思えば、なんで付き合ったんだろう。
その時のわたしは
いつ別れようかってずっと考えてた。
ノリアキの家から私の家までは
歩いて7、8分の距離。
わたしが住んでいるのは母方の実家。
おばあちゃんち。
理由あって三兄弟の中からひとりだけこっちに住んでいる。
家に到着するなり玄関には回らず
自分の部屋の窓を開けて
よじ登るようにして部屋に入る。
トイレとお風呂とご飯を取りに行くの以外
祖父母や叔母さんたちと会うことは
同じ屋根の下でもほとんど無い。
この生活を1年半続けてる。
自分が悪くてこうなってしまったんだけど
家に居ても居場所が無くて
寂しいからずっとスマホをいじる毎日。
こんな生活、もうやだな。
そう思いながらその日もスマホと向き合ってた。
ブーッ、ブーッ…。
いつもの通知音と振動が部屋に鳴り響いて
どうせ何かのアプリの通知だろうと思って電源を入れると。
「!?」
『お前今日暇?』
ツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)。
相手は、5月頃から3ヶ月間
わたしがコンビニのバイトをしていた時の1個上の男の先輩。
なーきぱいせん(笑)
向こうが先に辞めて別の仕事に就いてから
わたしも高校中退と同時にラインを出戻りして
唯一ツイッターだけで繋がってた。
あまりに急な誘いにびっくりしながらも
誘われた事が嬉しくて思わず顔が緩む。
『全然暇ですよ!』
『じゃあこれからこうだいくんの車で迎え行くわ』
こうだいくんもコンビニのときの2個上の先輩。
働いてたときは特に絡みはなかったけど
辞めてからツイッターで仲良くなって
最近はツイッターのリプでよく会話してた。
メイクする暇なんて無かったから
胸まである長い髪をストレートアイロンで伸ばして
マスクをはめて家を出る。
外はすごく寒くて、それらしい車が見えた瞬間
わたしは身震いしながらそそくさと乗り込んだ。
「お久しぶりで〜す…」
人見知りが発動して、思わず声が小さくなる。
助手席に座っていたなーきぱいせんがすぐに反応して振り向いてきた。
「本当よな!俺らが最後に会ったのいつや!」
「多分、なーきぱいせんが辞めていった日以来ですね」
「ああ…あれが最後か」
なーきぱいせんは声が大きくて
フレンドリーで誰とでもすぐ仲良くなれる人。
わたしがコンビニに入ったばかりの頃
いろいろ教えてくれて一番お世話してくれたのがこの人で
多分その時一番仲がいい先輩だった。
長身で、コンビニの時は肩下までの金髪に金メッシュを入れてたのも
今は仕事の関係上さっぱりと切って
髪色もだいぶ落ち着いてる。
「暇いけん、誰か誘うか〜ってなって、こうだいくんが風香ちゃんは?って言ったけんが誘ってみたっさね」
「わたし誘われたらいつでも来ますよ」
わたしが夜中いつも起きてて、ツイッターに呟いてるのを見て、こいつ絶対暇だろってなったらしい。
車を20分ほど走らせて
着いたのはなーきぱいせんたちの行きつけのバー。
生まれて初めて来るバーに思わずテンションが上がってたら
こうだいくんが心配してきた。
「風香ちゃん、お酒飲まんやろ?」
「飲まないですねえ…飲酒とタバコは絶対にしないって決めてます(笑)」
わたしは彼氏にそう吐き捨てて家を出た。
山下 風香。16歳。
通っていた全日制の私立高校を秋に中退してから
今は通信制に通いながらバイトしている
一応高校2年生。
年明け早々、彼氏のノリアキと喧嘩して
正直冷めきってた。
ノリアキとは去年の3月に付き合ったから
もう2ヶ月も経てば1年になるけど
わたしはもうウンザリしてた。
喧嘩したらすぐ泣くし、はぶてる。
男らしいとこ全然無くて
エッチのときは自分がよければそれでいいって感じ。
元彼と別れたばかりの時に
向こうも彼女に振られたばかりで
ラインであやふやな告白されて
勢いで付き合ったけど。
今思えば、なんで付き合ったんだろう。
その時のわたしは
いつ別れようかってずっと考えてた。
ノリアキの家から私の家までは
歩いて7、8分の距離。
わたしが住んでいるのは母方の実家。
おばあちゃんち。
理由あって三兄弟の中からひとりだけこっちに住んでいる。
家に到着するなり玄関には回らず
自分の部屋の窓を開けて
よじ登るようにして部屋に入る。
トイレとお風呂とご飯を取りに行くの以外
祖父母や叔母さんたちと会うことは
同じ屋根の下でもほとんど無い。
この生活を1年半続けてる。
自分が悪くてこうなってしまったんだけど
家に居ても居場所が無くて
寂しいからずっとスマホをいじる毎日。
こんな生活、もうやだな。
そう思いながらその日もスマホと向き合ってた。
ブーッ、ブーッ…。
いつもの通知音と振動が部屋に鳴り響いて
どうせ何かのアプリの通知だろうと思って電源を入れると。
「!?」
『お前今日暇?』
ツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)。
相手は、5月頃から3ヶ月間
わたしがコンビニのバイトをしていた時の1個上の男の先輩。
なーきぱいせん(笑)
向こうが先に辞めて別の仕事に就いてから
わたしも高校中退と同時にラインを出戻りして
唯一ツイッターだけで繋がってた。
あまりに急な誘いにびっくりしながらも
誘われた事が嬉しくて思わず顔が緩む。
『全然暇ですよ!』
『じゃあこれからこうだいくんの車で迎え行くわ』
こうだいくんもコンビニのときの2個上の先輩。
働いてたときは特に絡みはなかったけど
辞めてからツイッターで仲良くなって
最近はツイッターのリプでよく会話してた。
メイクする暇なんて無かったから
胸まである長い髪をストレートアイロンで伸ばして
マスクをはめて家を出る。
外はすごく寒くて、それらしい車が見えた瞬間
わたしは身震いしながらそそくさと乗り込んだ。
「お久しぶりで〜す…」
人見知りが発動して、思わず声が小さくなる。
助手席に座っていたなーきぱいせんがすぐに反応して振り向いてきた。
「本当よな!俺らが最後に会ったのいつや!」
「多分、なーきぱいせんが辞めていった日以来ですね」
「ああ…あれが最後か」
なーきぱいせんは声が大きくて
フレンドリーで誰とでもすぐ仲良くなれる人。
わたしがコンビニに入ったばかりの頃
いろいろ教えてくれて一番お世話してくれたのがこの人で
多分その時一番仲がいい先輩だった。
長身で、コンビニの時は肩下までの金髪に金メッシュを入れてたのも
今は仕事の関係上さっぱりと切って
髪色もだいぶ落ち着いてる。
「暇いけん、誰か誘うか〜ってなって、こうだいくんが風香ちゃんは?って言ったけんが誘ってみたっさね」
「わたし誘われたらいつでも来ますよ」
わたしが夜中いつも起きてて、ツイッターに呟いてるのを見て、こいつ絶対暇だろってなったらしい。
車を20分ほど走らせて
着いたのはなーきぱいせんたちの行きつけのバー。
生まれて初めて来るバーに思わずテンションが上がってたら
こうだいくんが心配してきた。
「風香ちゃん、お酒飲まんやろ?」
「飲まないですねえ…飲酒とタバコは絶対にしないって決めてます(笑)」