「芽以ちゃん、点滴外すよ?」


ちょっとした外出の日、調子がよかった。


念のためと酸素チューブだけはつけたままにとのことだけど、それ以外は自由!


嬉しい...!!ほんとに嬉しすぎる!!


格好も、見た目も入院患者だけど、心の中では退院した。


いつもの看護婦さんに付き添ってもらって、エレベーターを降りて外へ出た。


「芽以ちゃん、外はもう夏なんだよ〜!」


「暑いですね...もう夏なんだぁ...」


小さな噴水広場で、看護師さんと話をした。


「そういえば、芽以ちゃんって、彼氏いるの?」


彼氏...?


“僕と...付き合ってください……!”


あの、心地のいい声が頭の中で再生された。


「い...いないです!」


「あ〜ら、真っ赤だよ?芽以ちゃん」


笑いながら、顔をのぞき込まれた。


「発作が起こる前に、好きな人に.....告白されたんです...」


「返事は??」


「してないって言うか...出来なくて……」


「芽以ちゃん?ダメだよ、病気なので重荷になっちゃうーとか。理由、そうでしょ?」


「.....」


図星すぎて...何も言えなかった。