企画の打ち合わせは、着々と進んでいた。
「壁紙のデーターは?」
俺は、次の打ち合わせになるのを覚悟で投げてみたが、矢崎はさっと、パソコンの画面にデーターを映し出した。
その後も、必要な資料やデーターは全てまとめてあり正直驚いた。
いくらアシスタントの仕事とはいえ、これほどまでに先を読んで取り組める者がいただろうか?
そんな事を考えて居ると……
「あははっ。どうしてこうなったの?」
突然、姫川の笑いが響いた。
姫川の手にした資料の一部に、ラブホのようなベッドルームが写っている。
「ああ…… 間違えて印刷しちゃった~~」
悲鳴を上げたのは大宮だ。
「大宮かぁ」
飯沼主任が笑いを堪えているのが分かった。
「クリックひとつ間違えたら、こんなんなっちゃって…… 消すのを忘れたんです…… 間違えただけです」
矢崎の言った通り、大宮が口を尖らせていじけだした。
「まあ、こう言う部屋もありかもなぁ?」
飯沼主任の冗談だか本気なんだか分からない言葉が出た。
俺は思わず矢崎を見ると目が合い、お互いニヤリとしてしまった。
矢崎が、これだけ先を読んで資料を揃えられるのは、きちんと人を観察しているからだと思った。
だから、相手の先を読む事が出来るのだろう……
これは、彼女の優れた才能であり、この企画チームのかなりの戦力だと確信した。
それはマンションの建築現場でも、発揮されていた。
俺の現場代人とのやり取りに応じ、適切なデーターをタブレットに出す。
しかも、出しゃばる訳でなく、必要なタイミングで出す判断力にどれほど俺は助けられただろか……
だが、矢崎の魅力はそれだけでは無く、現場で働く者達にも向けられていた。
「矢崎さん!」
と声を掛けて来る職人達は皆ニコニコしている。
俺は、彼女の仕事への意欲だと上司として認めなければいけない事は分かっているのだが、なんだか苛立つ……
俺が運転する帰りの車の中……
「お前、下請けから偉く人気だな……」
俺の口から、あきらかな嫌みが出てしまった。
「そうですか? でも、コミュニケーションちゃんととっといた方が、色々とスムーズに行くじゃないですか?」
「ふーん」
俺はあえて興味無さ気に、運転に集中している振りをしたが、内心穏やかでは無かった。
そして、マズイとは思いつつ、矢崎と亜由美を比べてしまってした。
亜由美は確かにテキパキと仕事を熟し、部下に指示を出すが、周りの人の事を考えて居るとは感じた事がない……
助手席に座る、屈託のない矢崎の笑みに愛しさを感じ始めていた。
「壁紙のデーターは?」
俺は、次の打ち合わせになるのを覚悟で投げてみたが、矢崎はさっと、パソコンの画面にデーターを映し出した。
その後も、必要な資料やデーターは全てまとめてあり正直驚いた。
いくらアシスタントの仕事とはいえ、これほどまでに先を読んで取り組める者がいただろうか?
そんな事を考えて居ると……
「あははっ。どうしてこうなったの?」
突然、姫川の笑いが響いた。
姫川の手にした資料の一部に、ラブホのようなベッドルームが写っている。
「ああ…… 間違えて印刷しちゃった~~」
悲鳴を上げたのは大宮だ。
「大宮かぁ」
飯沼主任が笑いを堪えているのが分かった。
「クリックひとつ間違えたら、こんなんなっちゃって…… 消すのを忘れたんです…… 間違えただけです」
矢崎の言った通り、大宮が口を尖らせていじけだした。
「まあ、こう言う部屋もありかもなぁ?」
飯沼主任の冗談だか本気なんだか分からない言葉が出た。
俺は思わず矢崎を見ると目が合い、お互いニヤリとしてしまった。
矢崎が、これだけ先を読んで資料を揃えられるのは、きちんと人を観察しているからだと思った。
だから、相手の先を読む事が出来るのだろう……
これは、彼女の優れた才能であり、この企画チームのかなりの戦力だと確信した。
それはマンションの建築現場でも、発揮されていた。
俺の現場代人とのやり取りに応じ、適切なデーターをタブレットに出す。
しかも、出しゃばる訳でなく、必要なタイミングで出す判断力にどれほど俺は助けられただろか……
だが、矢崎の魅力はそれだけでは無く、現場で働く者達にも向けられていた。
「矢崎さん!」
と声を掛けて来る職人達は皆ニコニコしている。
俺は、彼女の仕事への意欲だと上司として認めなければいけない事は分かっているのだが、なんだか苛立つ……
俺が運転する帰りの車の中……
「お前、下請けから偉く人気だな……」
俺の口から、あきらかな嫌みが出てしまった。
「そうですか? でも、コミュニケーションちゃんととっといた方が、色々とスムーズに行くじゃないですか?」
「ふーん」
俺はあえて興味無さ気に、運転に集中している振りをしたが、内心穏やかでは無かった。
そして、マズイとは思いつつ、矢崎と亜由美を比べてしまってした。
亜由美は確かにテキパキと仕事を熟し、部下に指示を出すが、周りの人の事を考えて居るとは感じた事がない……
助手席に座る、屈託のない矢崎の笑みに愛しさを感じ始めていた。