花婿と花嫁が、蒼と緑の美しい瞳を交わし微笑み合う。
司祭に促され、誓いの口付けを交わす二人に、盛大な祝福の拍手が湧き起こった。


教会の尖塔では、世紀のロイヤルカップルの成婚を知らせる鐘が、領土全域に向けて高らかに打ち鳴らされた。


誓いを交わし合った二人が少し恥ずかしそうに微笑み合った時、彼らを祝福していたのは教会の参列者だけではない。
城内はもちろん、フレイア王国全土で国民による拍手喝采が湧いていたのだ。


至上の幸せに顔を綻ばせるアデルの横顔を見て、セドリックは彼女の髪をそっと撫でた。
三ヵ月前、肩の上で揺れていた彼女の髪は、今は肩の下の長さまで伸びている。
ヴェールの下で、綺麗に結い上げられたプラチナブロンドの髪が、ステンドグラス越しに降り注ぐ太陽の光を浴びて、キラキラと輝いていた。


「……アデル。早速今夜は、王太子妃としてのお務めだよ」


人々の歓声に掻き消され、セドリックの言葉がアデルにははっきり伝わらない。
きょとんとした様子で首を傾げるアデルに、セドリックはそっと身を屈め、彼女の耳元で囁く。


「忘れてたなんて言わせないよ。アデル、今夜は僕たちの初夜だ。……言いたいこと、わかるよね?」

「っ……」


直接鼓膜を震わせる形で伝えられた甘い誘惑に、アデルはポッと頬を赤らめた。
彼女の反応を見て、セドリックはふふっと笑う。


その後……。
宵闇の中行われた結婚祝賀パーティーでも、アデルは終始頬を赤く染めていた。
彼女が頬を火照らせていた理由を知っているのは、夫であるセドリックと、全知全能の神のみだ。