セドリックはアデルの瞳を覗き込みながら、薄い唇をゆっくり開いた。


「アデル。僕はどんな姿の君も、好きだよ」


アデルを見つめるセドリックの目が、優しく細められる。


「っ……」


思わず息をのんだアデルに、彼は短く繰り返した。


「君が、好きだ」


セドリックがくれた言葉が、アデルの胸に広く深く沁み渡っていく。


「あ……」


なんと返事をすればいいのかもわからないまま、ただ気持ちが急いて、アデルは唇を開いた。
そこから漏れた声は、言葉にならない。


そんなアデルに、セドリックはほんの少し口角を上げて、まるで挑むような言葉を畳みかけた。


「大事な髪を切った君の忠誠、しかと受け止めた。アデル、僕のそばにいたいと願ってくれるんだろう? それなら、歴代と比べてどんなに前代未聞でもいいから、僕は君を……妃にしたい」

「っ……」


ドクン……と胸が大きく弾むような音を立てるのと同時に、アデルは鼻の奥の方がツンとするのを覚えた。
セドリックの瞳に射貫かれたまま、彼女はゴクッと喉を鳴らす。


反応できずにいるアデルに、セドリックはどこか緊張したように表情を引き締めた。
そして――。