ライアンの琥珀の瞳を射貫くサファイアがきらりと光る。
その神々しいほどの輝きの前で、ライアンはごくりと唾をのんだ。


「……セディ……」


セドリックの言葉の意味を、ライアンは深く探ろうとした。
彼の言葉尻を拾って、『あの仮面の姫君への想いは、本当にお前の中からもう全部消え去ったのか?』と聞くべきだと思った。
それでアデルも不機嫌になっていたのだから、今、この場ではっきりと。


しかし、それをストレートに聞き出すのは愚行のような気がして、ライアンはただ言葉をのんだ。
たった今のセドリックの言葉は、抱え切れないほど溢れ出る愛の言葉に聞こえたからだ。


(もしかしてセディ、アデルのこと……?)


曖昧に呼びかけたまま黙って目線を宙に彷徨わせるライアンに、セドリックはわずかに困ったように首を傾げてから、何か気にするように広間の窓の外を見遣った。


「パーティーの警備の件は、また日を改めて相談する。すまない。そろそろ国王の公務に戻らなきゃいけない」

「……ああ」


ライアンが頷くのを見て、セドリックはドアの方に向かって歩き出す。
そして。


「ライアン」


セドリックが彼を呼びかけながら、その横に立ち止まった。