「あの…さっきから何なんですか?『色欲』とか、能力とか…」
「キミの母親、シェーヴルはもともと仲間だったんだ」
「それは流れ的にわかってます」
「…めんどい、シンマあとよろしく」
「おい、自分で言っておいて丸投げかよ…」

 シンマと呼ばれた男の人は孔雀に対して呆れた。

「まあ、孔雀がここまで喋るの珍しいもんな、すごいもんだ」
「…」

 孔雀は黙り始める。

「悪いな。孔雀はいい加減な奴だがいざというときはすごいやつだ」
「本当なんですか?なんかあまり信じられない…」
「まあ、普段ああだしな。無口だし、何考えてっか分かんねえし…いてっ!」

 シンマは顔を歪めた。
 どうやら孔雀が悪口を言いすぎた彼に対して思いっきり脛を蹴ったのだろう。

「しょうがねえだろ、お前いっつも姿変えたりしてんじゃん!」
「それでもシンマはわかってくれるでしょ?一目で」
「俺はお前と何十年いると思ってんだ?」
「うーん…30年だっけ?」
「さ、30⁉」

 30年も一緒にいるってことは…それでも見た目が若すぎる…!

「それじゃあ、お母さんが生まれた時と私が生まれた時の年が合わない!」
「シェーヴルが赤ん坊のころも見てきたぜ?なあ」

 こくっと孔雀は頷く。

「えっ!?待って話がまったくわかんない…!」
「ようするにあんたのばあさんのことも知っているってことだ」
「ああ、タイシュか…懐かしいな」
「シェーヴルを生んだ後、流行病に罹っちまってよ…。そんで俺たちがあいつを育てたようなもんだな。だから娘が死んじまったようで悲しい」
「そ、そうだったんだ…。だったらなんでお母さんはあなたたちのことを話さなかったんだろう?」

 私がそういうとシンマの顔が暗くなる。