「この子か……」
職員室に戻ってきた僕は、棚から写真付きの名簿を出し、さっきの男子生徒を探した。
彼の名前は藤澤優(ふじさわゆう)。
副崎と同じ二組に所属している。
出席の時に名前と顔をなるべく覚えるようにしていたが、中々すぐには覚えられない。
教室で見たところ周りより背が高く、何かスポーツをしているような体つきだった。
顔立ちは整っているが、少々気難しそうな雰囲気がある。
何故こちらを見ていたのだろう。
何か聞きたいことでもあったのかな。
どちらにせよ、本当に聞きたいことがあるなら、また聞いてくるだろう。
そう思って僕は大して気には留めず、三限の授業の準備に取り掛かった。