私が社会不適合者になって
どれくらい経っただろうか?

もう昼近くになる時間に目が覚めて
私は、ふと考えていた。

小学、中学、高校。

私は、その頃から自分が皆んなに溶け込めていない事に気付いてた。

そして、高校を卒業してからもアルバイトを転々として、結局なにか目標が見つかるわけもなく今こうしてるわけで

「なにしてんだろ」

自分ってなんなんだろ?
こうして、ただゴロゴロして
何かするわけでもなく、ただ生きていて

「はあ」

携帯をさわる。
いつもの世界に行こう、私と同じような人がいる世界に



それは、チャット
携帯のアプリで見知らぬ人達と話せる。
それぞれチャットルームがあり、私もお気に入りのチャットルームがある。
そこは、今の私を温かく迎えてくれるチャットの住人達がいる。


あづみ「おはよう〜〜」

ミク「あ!あづみちゃんだー
おはよう!」

たけし「あづみー」

ルームに入るとレスが少しついた。
今は、ミクとたけしだけか。
この2人は、毎日のようにいる。
特にミクは、私の中で一番話しやすく
お気に入りだ。

ミクも上手く社会に馴染めず引きこもっている。
だけれど、チャットでの対応が凄く優しく
そのせいかこのチャットルームでアイドル的な立場になってる。

チャットルームと言えど立場があるのは、羨ましい。
私は、取り留めのない会話しか出来ないから。


ミク「あづみちゃんが来て良かったー!
たけしってずっとセクハラ発言してくるんだもーん笑」

あづみ「えー、たけしミクちゃんにそんな事しないでよね!」

たけし「ミクちゃん可愛いんだもん!
仕方ないwww」

私達は、顔は知らない。
それでも話し方や仲良し具合で
自分達の中でその人の像が出来上がってく。

それが面白かったりもする。


現実の自分を忘れれる気になるから



少しチャットルームで話をしていると
続々とメンバーが増えて来た。

「あ。紅蓮だ」

紅蓮。
私より少し年下の男の子
話があって、面白くて、私は少し惹かれていた。

チャットルームだけの仲なんだけどね。

紅蓮「あづみーこの前教えてくれた漫画読んだ!めっちゃ面白いじゃん」

あづみ「おー!読んでくれたんだ!
さっすが(^-^)」

ミク「なになにー!気になる気になる!」




「ふふふ、ミクはすぐ気になる気になるだなぁー」

チャットルーム、今の私の居場所はここ。
でも内心焦りもある。

いつまでこうしてられるんだろう?

いつまでこうしてるんだろう?


ぞくっとした。


考えるな、考えるな。
楽しいチャットの時間なのに!

「ん?」

チャットには、個人メールの機能があり
そこに一通メールが来ていた。

見るとそれは、紅蓮から

どきりとした。


『いきなりメールごめん
あづみって時々ROMっちゃっうから
あんまり沢山話せないから
メールしちゃったw
良ければ連絡先交換しよーよ』


少しだけ胸が高鳴るのを感じた。
と、そこで携帯のアラームが鳴る。

バイトの時間だっ。

少しだけだけれど私は、アルバイトをしている。
人と関わりの少ない清掃のバイトだ。


紅蓮への返信は、ひとまず置いといて
私は、バイト先に向かった。