出発して数十分

やはり例の家は近かった

おじさんの言ってた大型スーパーがここの敷地からもはっきり見える

しかし人の集まっているスーパーに比べ、ここの家は…

「……………」

古かった…

壁の木材はじゃっかん腐っていて窓は汚れで霞んでいた
敷地も落ち葉や木の枝やゴミが散乱していてあまり良い家とは言い難い

これに幽霊付きがプラスされれば値段がリーズナブルなのも頷ける

「何してんだ?さっさと中に入れ」

「あ、うん」

引きの悪い戸を開けながら手招きしていたおじさんの元へ俺は駆け寄った




家の中に入ってみると、中は案外綺麗だった

特に済みにくい問題は見当たらない

「ここが便所でここが風呂な、二階がないから少し小さいが…まあ一人で住むなら広いほうだろ」

勝手にうんうんと納得するおじさん

「んで、幽霊いるか?」

「う〜ん…」

そう、最初から気になっていたのだが…

幽霊の気配が全く感じられない
幽霊が居る時のあの不思議な感覚がなかなか伝わらない

ここに来るまでに霊感がなくなったわけではない
ここに向かう途中、道路の真ん中で念仏を唱えてたおばあちゃんの幽霊を見たからそれは確信できる

「…いないのかな」

「ふ〜ん、まあそれならありがたいがな」

また勝手に納得するおじさん




「んじゃ俺は行くからな」

「早っ!!」

まだ来て30十分も経ってないのにいきなりの帰還宣言を発したおじさんに俺は驚く

「明日には仕事があるんだ、さっさとあっちに帰らないと体にこたえるからな」

そういうとそそくさと家を出て車に乗り込むおじさん

「じゃあな、なんか問題あったら連絡よこせよ」

そしてエンジンをかけて俺を置いて家を後にしたおじさん

「…ぁんのアホジジィ…」

怒りで拳が震える
欲しいもん全部買って貰ったら一発ぶん殴ってやる

そう心に誓い俺は再び家の中へと戻った……
















(……誰か…来たのかな…)