「勇樹をそこに住ませようと思う」


「………はあっ!!?」


俺はびびった、俺だけがびびった

両親らは普通に「あぁなるほど」
という顔をしていた

いやいやなるほどじゃねーだろ!!

「確かに名案かもな」

「だろ?んじゃお宅の息子を借りていいか?」

「あぁ好きにしてく」
「勝手に話進めるなぁ!」

俺はおじさんにガン見して怒鳴った

「なんで俺がみすみす幽霊と同棲するような真似をしないといけないんだ!?」

普通のことだ、普通すぎて日常では絶対に言わない台詞だった

しかしおじさんは普通な顔で
「だってお前幽霊見れるんだろ」
と言った

「ぐっ…」

確かにそこは否定できなかった



俺は昔から霊感が強かった

幽霊なんて普通に見れた

通学中に自分の最後を遂げた場所にいつまでもいた幽霊と仲良くなったり
自殺した幽霊の愚痴を何時間も聞いて成仏させたこともある

当たり前のことだが俺以外の人には全く幽霊は見えていなかった

それが原因なのか、友人と呼べる者は数える程度しか出来なかった
不気味なのだろう、幽霊が見える奴なんて…


しかし今、そんなことは関係ない

幽霊が見えようがなかろうが、そんないわくつきの一軒家なんかに行きたくなかった、行きたい訳無い

「まぁいいじゃないか、将来のためにもなるし」

「しかし幽霊と同棲はしたくない!」

俺は断固拒否した

将来のためなんかというきれいごとなんかでは行く気にもなれない

「そうか…残念だ…」

強情なおじさんもやっと観念した

これで再び平和な生活が戻ってくる

そう確信した俺はおじさんの一言で考えを改めてしまった