そう思って、俺は神谷の家へと向かった。
案の定、神谷は家の扉を開けようとしていた。
その顔には幾つのも涙の跡。
青白い顔をして、今にも倒れそうな程フラついている。


「見つけたっ!」



ぐいっ



気付けば、その細過ぎる体を抱き締めていて、掻き口説くように自分の想いを告げていた。


…それでも、神谷の好きなのは…。


ギリッと奥歯を噛み締める。
神谷が須賀をどれだけ好きでも、一度生まれてしまった想いは仕舞い込めない。
この感情は、神谷にしか動かせない。


「お前が、好きだ…」


そう言って、俺は神谷の額にキスを一つ落とした。