「神谷っ」



一人で泣かせねぇ。
一人で傷付いてるなんざ許せねぇんだよ。


あいつのことなんか早く忘れちまえ。
全部全部俺のもんになっちまえ。


そう思えば思う程、この手から神谷は擦り抜けていく気がして、バカみたいに焦ってんだ。


早く。
もっと早く。


今見つけなきゃ、全部失っちまいそうで、はち切れそうな鼓動を抑えて俺は最後の望みを掛ける。


今、あの場所へ行けば…きっと。