だから、柄にもなく色々と都合をつけて早退をして、神谷を捕まえる為にあいつが逃げ込んだ街をあちこち走り回った。


神谷に似た奴を見掛ける度に、声を掛けて…これじゃただのナンパやろうじゃねぇか。



「ちっ。どこにいやがる!」


はぁっと息を吸い込んで、小声で叫ぶ。
額に張り付いた前髪を何度も指で払って、ひたすらあちこち走って探す。


「神谷!どこにいやがるんだ!」


ジリジリと胸を焦がす想い。
こんな風に、自分以外の誰かに執着をする日がくるなんて、思いもしなかった。