一番のイライラの種は、言うまでもねぇ。
神谷の溜息の原因が俺一人のものじゃねぇって事だ。


どれだけ遠くを見つめていても、神谷の神経は隣の須賀に向けられている。
しかも…自覚なしで、だ。



もっと、俺の事を考えろよ…。
お前の事だけ、愛してやるから。

そう念じるようにして、視線が合うように体勢を変えると…。


ばちん


と、瞳が合った。
その途端、カァッと赤く染まる神谷の頬。
俺はそれに満足して、意味ありげに微笑むとそのまま神谷から背を向けた。