「ふうん?まぁ、いいや。じゃあ、とりあえずでいいから、もう少しあんまり使わないヤツ教えてよ。私がもら…っあ、いや、処分してあげるから」


今一瞬、本音が出そうになって、私はブンブンと首を振った。
そんな私をマジマジと見て、須賀はゆっくりと口を開く。


「…小桜が?ほんとに?」

「じゃなきゃ、こんな断捨離に付き合ってないわよ!私、そんなに暇じゃないんだからね!」


ふん!と恥ずかしさを隠すようにしかめ面をすると、須賀のまとっている穏やかなオーラが一変した気がした。


「ご、ごめ、怒った?」

「いや、大丈夫。てか、そうだね。今の向こうで小桜の事呼んでいる人がいるみたい、だよ?」


なんとなく嫌そうな顔をして、教室の入り口の方を指差す須賀の、その先を見て私は小さく悲鳴を上げる。


「…げ。石井ちゃんじゃん!うわー。なんか怒ってるっぽいし。うーわーやだなぁ。…手招きしてる。じゃあ、須賀、私が戻ってくる前に『それ』なんとかしといてよ?」