「どんな顔、ってにっこり笑えば良いのよ。

あんた里中の彼女になったんだから」



「えぇーっ⁉︎
まあ、そうかもだけどさ」



笑顔って言われても…



「…こんな感じ?」


縡ちゃんに満面の笑みを向けると。



「うわ、こりゃ里中もドン引きするわ」


縡ちゃんは苦笑いで右手をひらひらと振った。


「ちょっと何それー!
酷ーいっ!」


頬をむうっと膨らますと。


その頬を左手の人差し指で突きながら縡ちゃんは“良い?”と諭した。


「そんな全開に笑顔にならなくて良いから。

もっと自然に、ふんわりと、出来無いの?」



「……。」



そんな事言われても…。


ぎくしゃくしちゃうんだもん。


だって、棚から牡丹餅でずっと好きだった里中の彼女になれたんだから。


あまりに突然過ぎて心の準備がまだ出来ていない。