里中の後ろ姿を眺めながら、はぁっと溜め息を落とす。


また変な奴、って思われたよね。



まあ確かに変な奴なんだけどさ。


どうせ変な奴って思われてるなら、


それなら――


それをあたしが変えなきゃ!



「里中っ!」


駆け足で里中の元へと近寄り、ドンッと背中を両手で押す。


「っわ」


里中は押された衝撃で前のめりに揺らいだ。



「あ、ごめん」


「ったく、何?」



里中は体制を元に戻すとよろけた際に肩からずれ落ちた鞄を掛け直した。



「あのっ、教室まで一緒に行っても良い?」



「………好きにすれば。
同じ教室なんだし」



里中は一瞬怪訝そうな顔にはなったものの、眼鏡フレームの縁を軽く上にあげてそう、言った。