「…変質者」


ぼそっと呟く声が聞こえて。


「ちょっと、失礼な…」


“事言わないでよっ!”

そう後に続ける筈だったのに。



後ろを振り向いたあたしは絶句した。




其処には――



「さ、里中っ!」


迷惑そうな顔をした里中泉が突っ立っていた。



「お、おはようっ!」


あわあわと挨拶をするあたしを
じっ、と見ながら里中は返事を返してくれた。



「…はよ」



自己嫌悪に陥ってた所を里中に見られてしまうなんてっ…!


って言うか、昨日の今日で、


気、気まずい…。


里中の顔を直視出来無くて視線が自然と下へと落ちる。


とぼとぼと歩くあたし。


その横を里中は颯爽と通り過ぎて行った。


足音に効果音を付けるなら“すたすた”と言う感じ。



あ、行っちゃう。


もっと話していたかったんだけどな…。