次の日、あたしはいつもより早く家を出た――。



「んー、眠いっ」


寝ぼけ眼の瞼を手の甲でくしくしと擦りながら
まだ人も疎らな校庭を歩く。



「きっと教室に行ってもまだ誰も来てないんだろーな」


縡ちゃんだって、こんな早い時間には来ないよね。


鞄の取っ手に巻いてある腕時計に視線を落とすと時刻は7時50分だった。


クラス朝礼の時間は8時半だから
まだ40分も余裕がある。


いつもチャイムが鳴るギリギリの時間に教室に滑り込む普段のあたしからは考えられない登校時間だ。


でもとてもじゃないけど家でじっ、としているなんて出来無かった。


昨日から胸がずっとドキドキしていて、


脳裏に浮かぶのは里中と彼女さんの別れ話の場面で――



こんな状況なのにドキドキしてるなんてっ!



「あたしのバカバカバカッ!」



そう呟いて頭を左右にぶるぶると振り回すと。