うわ~ん、どうしようっ!


頬を抓られながら、どうしたら盗み聞きしていた事を里中に許して貰えるか考えていると。



「てっ…!」


不意にピリッとした痛みを最後に、里中はあたしの頬から手を離した。



「…あんまり人に言うなよ」


そう言って里中はあたしに背を向けて、再び階段を上って行く。



“あんまり人に言うなよ”


その意味が分かったあたしは痛む頬を押さえて
慌てて里中の背中に返事をする。



「さ、里中っ!」


「何?」


「あたし、何も聞いてないよ!
里中と彼女さんの別れ話とか!」


「…しっかり聞いてんじゃん」


「あ゙」



ちゅどーん!

あたしの中で自爆と言う名の爆弾が爆発した。



「いや、だからそうじゃなくてっ!」


「…?」