そう思って、里中の声を遮り
にこやかな笑顔を作ったあたしは


階段の手摺りに掛けていた里中の手を無理矢理引っ掴んで

握手紛いな形にさせ、里中の手をぶんぶんと振った。





「…橋本」


里中はそんなあたしの事をじっと見つめている。



「え、えへへ」



無理ありますよね、この話題の逸らし方。



苦笑いのあたしの頬に、もう片方の里中の手が伸びて来たかと思うと。



ぐにっ、



いきなり頬を抓られた。


「い、いひゃいいひゃい!」


ハムスターの頬袋の様に伸びる自分の頬に小さな痛みを感じて声を上げる。



「…何、話逸らそうとしてんの」



里中は無表情のまま、そう言ってあたしの頬をぐいぐい引っ張る。



「~っ!」


や、やっぱり怒ってるんだー‼︎