帰り道に、うあー、と奇声を上げた由里が隣を見て笑顔になった。

「疲れたね。やりきった感ある」
「うん」
大きく頷いた私は、高月を見上げて笑いかけた。

「今日は色々ありがとう」

ん、と返事をした高月は何気なく前を向く。

その横顔を眺めていた自分に気づいて、慌てて目を逸らした。

(…まつ毛、長いんだな)

自分より整った顔立ちをしていることに、いくらか落ち込む。知ってはいたが、鼻が高いわけでもなく、目も二重ではあるが細めの自分が可愛い部類ではないことを最確認させられた。

なんだかなぁ。

心の中で呟いた蝶は、家の前で立ち止まった。

「二人共、今日はありがとう。また」
「またね」
「じゃあな」
それぞれに返される挨拶が、耳に染みるのが心地よかった。