「当たり前じゃん」

軽く胸を張る高月に、「どうだか」と二人で首をすくめる。

「それにしてはその格好、随分身軽よね」

「俺は元々課題を溜め込むタイプじゃないの」

お前らと違って。

そう言い放つ高月が私の隣に座ったのを見て、由里が大袈裟に顔をしかめた。

「あんた、どうして」

そこで司書にさり気なく睨まれたことに気がつき、小声で続ける。

「…どうして、ここに居座るのよ」
「いいだろ、それくらい」
「よくない」
その慣れた言い合いに思わず笑ってしまう。

「いいよ。頭良かったよね、高月」

こちらも勉強を教えてもらう算段で言うと、高月は勝ち誇るように由里を見たので、噛み付く顔になった由里をなだめるのに時間がかかった。