別に、と返す高月真昼は片手にスティック状のチーズを持ち、一本ずつ裂いて口に放るところだった。

「クリスマスなら俺も暇だよって話」

「誰が知りたいのよ、そんなの」

冷たく突っぱねる由里をなだめて言った。もちろん視線はチーズに据えている。

「それはそれとして、どうして図書館でチーズなわけ」
「美味いから」
文句ある、と言ったふうにこちらを眺めやる高月真昼に、変わらないなとため息をつく。

それでも、高月真昼は私の数少ない友人だ。

不登校になってからも、街で会えば他愛のない話を交わし、自然体で接してくれる。

今年、高校一年生の一学期に前の席だった高月に、遠慮なく話しかけられてほっとした。

それからはあまり積極的とはいえない私も、男子の中で唯一高月とはまともに喋ることが出来るようになった。

掴みどころのない性格だが、時々笑った顔がきゅんとくる、と女子に人気はあるらしい。

「で、高月も勉強しに来たの」