自分でも分からないのに、説明できるはずがない。

それでも、由里には言いたくないという誤解をされたくなかった。

「また」
私が小さくこぼすと、由里がこちらを向いた。

「また、会えたらいいのにな、とか。でももうどんな顔をすればいいのか分からない、とか。思う」

だけの、感情。

心情とも言えない願い。小さな、小さな。
なぜかも分からないのに、思い浮かべてしまう。

「…もうすぐ、クリスマスだね」
話題を変えた私に、由里は相槌を打ってくれた。

「今年も家族で過ごすの?」
「そのつもり。蝶は?」
「もちろんだよ」

苦笑した背中に、気配を感じて振り返る。

「高月か」
由里が呆れたように言った。「何してんの」