次の日。今日は、リッくんと初デートの日。

家の前でリッくんを待っている。

【ごめん。お待たせ。】

お互い私服で会うのは初等部の時以来。

妙にドキドキしてしまう。

『だ、大丈夫。全然待ってないから!』

恥ずかしさで俯く私。

【そうか?じゃあ行こうか。】

リッくんが手を握ってくる。

『わぁ!び、びっくりした〜!』

【な、何だよ?今日、変じゃね?】

『いや、ちょっと、緊張しちゃって。
ごめんね。』

リッくんは特に気にした様子もなく、歩きだした。

『わあぁ。すご〜い!』

大きな観覧車、空中ブランコ、コーヒーカップ…などなど沢山のアトラクションがある。

【たまには良いだろ?遊園地も。】

『うん!ちょー久しぶりに来た!』

嬉しくて、感動して私は小さい子どもみたいにはしゃいでいた。


帰り道。私はリッくんの腕に絡み付きながら歩いている。

信号待ちの時にそれはおきた。

〈きゃあぁぁぁぁ!〉

女の人の悲鳴。

悲鳴が聞こえて来た方向をみると…。

信号無視をした大型トラックが道路を渡っている5歳くらいの男の子を引こうとしている。

私はリッくんに相談しようと思い、リッくんを見た。

リッくんは
その男の子を助けようと駆け出していた。

『ダメ!行かないで!リッくーん!』

リッくんは男の子を突き飛ばし自分がトラックに引かれた。

悲鳴をあげていたのは男の子のお母さんらしく、我が子の無事を確認すると男の子を抱いて走り去った。

リッくんの体が宙を舞う。

『あ…。』

ドシャ

リッくんは地面に落ちた。

どこからか救急車の音がする。

私の頭は真っ白。

リッくんに駆け寄り軽く揺する。

『リッくん?ねぇ、リッくん!起きて!
リッくん!』