遠足から1ヶ月後の今日は青空が広がり、
目覚めも最高だ。

でも…。

『はぁ。体育祭か…。』

種目はそんなに出ない。

ほとんど応援だ。

なのにしんどい。

私は体育祭の種目決めの日を思い出していた。

『出たくない。』

私は体育祭実行委員の松村さんに言った。

〈ダメ!出なさい!〉

決めている種目は男女混合二人三脚。

〈どのクラスもカップルが出るのよ?
しかも!あなた達カップルは学園の中でも目立ってるのよ?なぜ出ないの⁉︎〉

【弥生。頑張ろうぜ?俺、ちゃんとサポートするからさ。】

私は黙った。理由なんて絶対に言えない。

〈なら、私が代わりに黒鉄君と出るけどぉ?いいのかなぁ?〉

旅行係の安野さんがそんな事を言った。

『だ、ダメ‼︎あなたにリッくんはあげない。』

〈なら、出たくない理由を聞かせて?〉

松村さんが私に問う。

〈理由言わないなら私がぁ黒鉄君と出るけどぉ?〉

【弥生?】

リッくんが私の顔を見る。

『だって…。走ったら汗かくし!リッくんに臭いって思われたくないし!だからヤダ!』

松村さんと安野さんが絶句し、リッくんが驚いている。

【大丈夫だよ。そんなんで嫌いになんかなんねぇよ。】

『リッくん…。』

リッくんが私の頭をポンポンとした。

『わかった。私、出る。』

私は松村さんに言った。

〈へ?あ、わかった。〉

だが、数時間後に後悔した。


我に帰った私は自分に言い聞かせる様に言った。

『今さら、どうしようもない。』

私は支度を始めた。


『リッくーーん!頑張ってぇぇぇ‼︎』

応援席にて私は声が枯れそうになりながら
リッくんを応援した。

今は団対抗リレー。
リッくんはアンカー。

ビリッケツでバトンが渡りあっと言う間に1位になった。

そのままゴール。

『きゃぁぁぁぁぁ!リッくーーん!
カッコイイ‼︎』

リッくんが戻って来るなり私は抱きついた。

【当り前だろ!】

リッくんも機嫌が最高頂に達していた。

午前の種目が終わりお昼休憩もあと少しで終わるという時、リッくんが言った。

【大丈夫か?】

私が不安になっている事に気付いたのだろう。優しいなぁ。リッくん。

『えっ?あ、うん。もう、やんなきゃだし。
迷惑かけない様に頑張るね!』

リッくんが私を抱き寄せた。

【頑張んなくていい。俺がお前の分まで頑張るから。】

泣くかと思った。

今までずっと一緒にいたけど、こんなに優しくしてもらったのは初めてだったから。

『えへへ。わかった。リッくんに任せる。』

【おう!任せろ!】

そして始まった午後の部。

私達はアンカーだ。

【次だぞ。大丈夫だ。安心しろ!】

『う、うん…。』

《イッケェー!》

バトンが私の手に渡る。

すぐにリッくんに渡す。

2番目の私達。前のペアとの距離がどんどん縮む。

あっ…。

気づいたらゴールしていた。前にいたペアもいない。

【お疲れ…。頑張ったな…。】

隣には疲れきった顔をしたリッくん。

応援席を見るとみんなが抱き合って喜んでる。

『リッくん。何位だったの?』

【1位。もしかして走んのに必死で順位気にできなかった?】

『う、うん。』

驚いたのと同時に嬉しかった。

リッくんと一緒にやりきった事に。

『ありがとう!リッくん‼︎大好き‼︎』

私はリッくんに抱きついた。

【任せろって言っただろ?】

いたずらっ子のような顔で私の頭をポンポンとした。

結局、私達のクラスはその後も順調に点を稼ぎ見事優勝した。