新学期開始から2週間が経った。

今は1週間後にある遠足に向けて班決めやバスの座席決めを行なっている。

【だから!俺は弥生と同じ班になりてぇし、バスだって隣に座るんだ!】

リッくんはクラスの女子に向かって怒鳴っていた。

リッくんの隣にいる私は嬉しい様な申し訳ない様な気分に押し潰されそうだった。

〈そんなの知らない!私達だって黒鉄君と同じ班になりたいしバスの隣にだって座りたいの!いつも一緒にいるんだからたまには良いじゃない!〉

旅行係の女子生徒がリッくんに向かって怒鳴る。

リッくんは限界に達したのか爆弾発言をした。

【弥生と一緒にいられないなら遠足、いかねぇから。】

教室が凍てついた。一瞬の間を置いて。

〈わかった!黒川さんと一緒にする!〉

あっさりと了承した。


1週間後。

今日は遠足である。楽しみだったのだが…。

【はぁ?胃腸炎?遠足行けないだと?】

私は迎えに来てくれたリッくんに遠足に行けないと言った。

理由は単純。昨日リッくんと別れた後、腹痛と嘔吐に襲われ病院に行ったら胃腸炎と診断された。

脂っぽいのは食べれないし、お腹がなんとも言えない状況の為今日の遠足を休まざるおえなくなった。

【俺も休む。】

そう言うとリッくんはスマホを取り出した。

『ま、待って!』

【なんだよ。弥生が行けねぇなら行く意味ねぇし。】

リッくんは拗ねた子供の様な態度で言った。

『私の分まで楽しんで来てよ。お土産待ってるね。』

そう言うとリッくんは仕方ないと言う風にため息をついた。

【わかったよ。しゃーねぇな行くか。】

リッくんは私を抱き寄せ耳打ちした。

【俺が他の女に取られても知らねぇから。】

いたずらっ子の様な顔で言った。
からかっただけなのだろう。
だが…。

『や、ヤダ…。私のリッくんだもん。』

私は涙目でリッくんに言った。

リッくんはビックリした顔をしたがニコッと
笑い、

【大丈夫だよ。俺はお前にしか興味ないから。心配すんな。】

と、言ってリッくんは学校へ向かった。